PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)について
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、
**ペルフルオロアルキル化合物(PFAS)**と呼ばれる有機フッ素化合物の代表的な2物質です。
PFOSは、1950年代に3M社によって開発され、テフロン加工のフライパンや鍋、防水スプレー、ワックス、化粧品、消防用泡消火剤などに広く使用されてきました。
PFOAは、デュポン社によって開発され、テフロン加工のフライパンや鍋、防水スプレー、ワックス、化粧品、食品包装などに広く使用されてきました。
PFOSとPFOAは、非常に安定した化学物質であり、環境中で分解されにくいという特徴があります。そのため、環境中に長期間残留し、生物濃縮される可能性があります。
PFOSとPFOAの人体への影響
近年、PFOSとPFOAが人体に有害であることが明らかになってきており、
発がん性や生殖毒性、甲状腺機能障害などの健康被害を引き起こす可能性があることが指摘されています。
動物実験では、PFOSとPFOAが以下の健康被害を引き起こすことが示されています。
- 発がん性: 肝臓がん、膵臓がん、前立腺がんなど
- 生殖毒性: 生殖能力の低下、出生前死亡、胎児の発育障害
- 甲状腺機能障害: 甲状腺ホルモンの分泌量減少、甲状腺腫
- 免疫機能障害: 免疫機能の低下、感染症にかかりやすくなる
- 発達障害: 脳の発達障害、学習障害、行動障害
ヒトでは、PFOSとPFOAで以下の健康被害との関連性が示唆されています。
- 発がん性: 睾丸がん、膀胱がん、甲状腺がんなど
- 生殖毒性: 不妊、早産、低出生体重児
- 甲状腺機能障害: 甲状腺機能低下症
- 免疫機能障害: 感染症にかかりやすくなる
- 発達障害: 自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害
PFOSとPFOAは、主に以下の経路で体内に摂取されます。
- 水道水: PFOSとPFOAは、水道水源の水質汚染によって水道水に混入することがあります。
- 食品: PFOSとPFOAは、テフロン加工のフライパンや鍋で調理した食品、防水スプレーやワックスを使用した食品、PFASが含まれている食品包装を使用した食品などに含まれることがあります。
- 空気: PFOSとPFOAは、工場や廃棄物処理施設から排出される大気汚染によって空気中に含まれることがあります。
- 土壌: PFOSとPFOAは、汚染された土壌や水によって土壌に蓄積することがあります。
PFOSとPFOAへの対策
PFOSとPFOAへの被害を減らすためには、以下の対策が有効です。
- 水道水: PFOSとPFOAが検出された水道水を避ける。水道水のPFOSとPFOA濃度が気になる場合は、浄水器を使用する。
- 食品: テフロン加工のフライパンや鍋を使用しない。防水スプレーやワックスを使用した食品を食べない。PFASが含まれている食品包装を使用した食品を食べない。
- 空気: 工場や廃棄物処理施設から排出される大気汚染を避ける。
- 土壌: 汚染された土壌や水に接触しない。
PFOSとPFOAに関する規制
PFOSとPFOAは、人体への健康被害が懸念されている物質であるため、各国で規制が強化されています。
日本では、2022年に厚生労働省がPFOS及びPFOAの暫定目標値を定め、水道水中のPFOS及びPFOAの濃度が暫定目標値を超えた場合、水質改善措置を講じることになりました。
また、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づき、PFOSは平成22年4月以降、PFOAは令和3年10月以降、原則として製造、輸入及び使用が禁止されています。