ゴム製品は、その優れた弾性や摩擦特性から、パッキン、シール、ベルト、タイヤなど、様々な用途で利用されています。しかし、用途によっては、ゴムの持つ高い摩擦係数が課題となることがあります。例えば、摺動部品においては、摩擦抵抗が大きすぎると、エネルギーロスや摩耗の増加につながってしまいます。
そこで重要となるのが、ゴムの表面処理です。適切な表面処理を施すことで、ゴムの摺動性を向上させ、製品の性能と寿命を大きく向上させることが可能になります。
本コラムでは、ゴムの摺動性を向上させるための代表的な表面処理技術について、その原理や特徴、具体的な応用例などを解説していきます。
1. コーティング
ゴム表面に薄い被膜を形成することで、摩擦係数を低減させる方法です。様々な種類のコーティング剤があり、用途や求められる性能に応じて選択されます。
- フッ素樹脂コーティング: PTFE(テフロン)などのフッ素樹脂は、非常に低い摩擦係数を持つことで知られています。ゴム表面にフッ素樹脂をコーティングすることで、優れた摺動性と非粘着性を付与できます。自動車部品のシール材や、OA機器の搬送ローラーなどに利用されています。
- シリコーンコーティング: シリコーン樹脂も比較的低い摩擦係数を持ち、耐熱性や耐候性にも優れています。医療機器や食品機械など、衛生性が求められる分野での利用に適しています。
- グラファイトコーティング: グラファイトは固体潤滑剤として機能し、ゴム表面に塗布することで摩擦係数を低減できます。比較的安価で施工も容易なため、幅広い用途で利用されています。
2. 表面改質
ゴム表面の化学構造や物理的性質を変化させることで、摺動性を向上させる方法です。
- プラズマ処理: 低温プラズマをゴム表面に照射することで、表面の分子構造を改質し、親水性や疎水性を制御することができます。特定のガスを用いることで、摩擦係数を低減させる効果も期待できます。精密な表面改質が可能であり、微細な部品への応用も可能です。
- UV照射: 紫外線(UV)をゴム表面に照射することで、表面の架橋密度を変化させたり、特定の官能基を導入したりすることができます。これにより、表面の硬度や摩擦特性を制御することが可能です。
- 化学処理: 薬品を用いてゴム表面を処理することで、表面に潤滑性のある物質を生成させたり、表面の凹凸を調整したりする方法です。ゴムの種類や目的に応じた薬品の選定が重要となります。
3. 特殊配合
ゴム材料の配合段階で、摺動性を向上させる添加剤を配合する方法です。
- 潤滑剤の配合: モリブデンジスルフィドやグラファイトなどの固体潤滑剤をゴム材料に練り込むことで、ゴム全体にわたって摺動性を向上させることができます。
- 低摩擦ポリマーのブレンド: ポリエチレンやPTFEなどの低摩擦なポリマーをゴム材料に少量ブレンドすることで、ゴム表面の摩擦係数を低減することができます。
表面処理を選択する際のポイント
最適な表面処理方法は、ゴムの種類、使用環境(温度、湿度、相手材など)、求められる摺動性、耐久性、コストなど、様々な要因によって異なります。
- 摺動距離と速度: 摺動距離が長く、速度が速い場合は、耐久性の高いコーティングや、潤滑剤の配合などが有効です。
- 相手材の材質と表面粗さ: 相手材の材質や表面粗さによって、最適な表面処理は異なります。
- 環境条件: 高温、低温、高湿度、薬品への暴露など、使用環境に応じた耐性を持つ表面処理を選択する必要があります。
- コスト: 表面処理の種類によってコストは大きく異なるため、予算に合わせて最適な方法を選択する必要があります。
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