TR試験とは?試験方法などについて
TR試験(Temperature Retraction test、低温弾性回復試験)は、
ゴムの低温特性を評価する試験です。
具体的には、伸長させた試験片を低温で凍結し、その後温度を上昇させながらゴムの弾性が回復していく収縮量を測定します。
TR試験の結果は、ゴムのぜい化温度や結晶化度などを評価することができます。
TR試験の目的
- ゴムの低温での使用可能温度を評価する
- ゴムの結晶化度を評価する
- ゴムのぜい化温度を評価する
- ゴムの異なる種類の比較を行う
TR試験の原理
- ゴム試験片を伸長させ、一定温度で凍結する。
- 温度を一定速度で上昇させる。
- ゴム試験片の収縮量を測定する。
ゴムは、温度が低下すると弾性が低下し、伸長状態のまま固定されます。その後、温度が上昇すると、ゴムの弾性が回復し、試験片が収縮します。この収縮量を測定することで、ゴムの低温特性を評価することができます。
TR試験の試験方法
TR試験の試験方法は、JIS K6261-4に定められています。
試験方法は、以下の通りです。
- ゴム試験片を10%伸長させ、-70℃で凍結する。
- 温度を1℃/分で上昇させる。
- ゴム試験片の収縮量を測定する。
TR試験の結果は、TR曲線と呼ばれるグラフで表されます。
TR曲線は、温度と収縮量の関係を示したものであり、TR試験で得られたデータをプロットすることで作成されます。
TR曲線の分析
TR曲線は、以下の点を分析することで、
ゴムの低温特性を評価することができます。
- TR10温度: 収縮率が10%に達する温度
- TR70温度: 収縮率が70%に達する温度
- TR10-TR70温度差: TR10温度とTR70温度の差
TR10温度とTR70温度は、ゴムのぜい化温度を表します。TR10-TR70温度差は、ゴムの結晶化度を表します。
TR試験の注意点
TR試験を行う際には、以下の点に注意する必要があります。
- ゴム試験片の形状や寸法は、JIS K6261-4に定められたものを使用する。
- 試験温度や昇温速度は、JIS K6261-4に定められたものを使用する。
- 試験結果は、試験条件を明記して記録する。
TR試験の応用
TR試験は、以下の用途に用いられています。
- Oリングなどのゴム製品の低温特性を評価する
- ゴム材料の選定を行う
- ゴム製品の品質管理を行う